「人生で読むべき1冊をひとつ挙げて。」
こう言われたら、わたしはこの本を選びます。
「Justice これからの正義の話をしよう」by Michael Sandel
難解な哲学を身近な事例を挙げながら、ぐんぐん掘り下げていく。洋書はもちろん、邦書でも動画でも。どんな形でも考えるきっかけをくれる名著です。
大学生時代に出会えてたら...とほんのり悔しさのある1冊。今学生のみなさんは、勉強の手を休めて読むだけの価値があります。
「1人を殺せば5人が助かる。あなたはその1人を殺すべきか?」
しょっぱなからめんくらうこの問いかけ。
どちらも正しいけど、どちらも間違ってる。あれ?そもそも正しいってなんだったっけ?
こんな究極の問いを投げかけるハーバード大学の超人気哲学講義が、マイケル・サンデル教授の白熱教室です。
学生のアンサーに対して「ではこの場合は?こんな条件があったらどう思う?」と想定できうるパターンを投げかけてくるので一気に自分ごとに。哲学リテラシーがなくても気づいたら深く考えさせられている。
そんな内容となっています。
サンデル先生が投げかける哲学の本質
より詳しい内容はわたしごときのつたない説明より、リアルな動画を見てもらったほうがいいでしょう。
「遭難して食料が尽きた状態で、3人が生き延びるために体調を崩した1人を殺し食べるのは正しいのか?」
「大学入試でのマイノリティに対する直接の優遇措置は公正なのか?」
一見極論に聞こえる問題も、どんどんどんどんわたしたちに近づけて考えさせてくれる見事な手腕。この講義の存在を知ると「そもそも勉強する意味ある?直接役立たないし。」なんて考えはどこへやら。
サンデル先生は、ベンサムやミルといった哲学の巨匠たちの言葉を借りてヒントは与えてくれるけど、答えは…ありません。ここが超重要。
議論すること、考えること、多様な見解を受け入れること。
サンデル先生が投げかけるのは、追求し続けることです。
主体はあくまでもわたしたち読者。彼自身の哲学の押し付けはありません。一冊読み終わる頃には凝り固まった頭脳がこじ開けられる感じが味わえます。
とはいえ、テーマそのものが哲学だから、考えれば考えるほど難しい。下記3つが本書の根幹となるテーマですので、そのへんに着目して読み進めるととっかかりやすくなります。
- 幸福の最大化
- 自由の尊重
- 美徳の促進
→それに伴う致命的な欠陥
終わりのない思考ループにハマってみたい方はぜひどうぞ。
わたしははじめて見たとき感動で心が震えて、ハーバード大のあるボストン旅行まで行っちゃいました。
ちなみにハーバード大は、誰でも講義が受けれるビジタークラス(無料)がありました。入学は至難の技ですが、世界最高峰の刺激を受けたい人は調べてみるといいですよ...!
さらに大学の目の前には付属ライブラリーがあります。ここにはハーバード出版名著から最新ベストセラー、ちょっとマイナーな本までところ狭しと並んでまして、心踊ります。
✔︎ サンデル先生の代表的著書
- #01 Justice: What's the Right Thing to Do?
これからの正義の話をしよう >邦訳 - #02 What Money Can't Buy
それをお金で買いますか? >邦訳 - #03 The Tyranny of Merit
実力も運のうち 能力主義は正義か? >邦訳
【多読と精読】時間がかかってもじっくり読もう
さぁ、ここから洋書の読み方について、わたし自身の話をちょっとだけさせてもらいます。
現在洋書多読に挑戦中。目的は伸び悩んでいる英語力のアップです。
とにかく英語に大量に触れれば、伸びないことはないだろうという魂胆で始めました。
しかしですね、多読と精読。これはしっかりわけて行うべきだと痛感しています。
もっというと、多読と精読はどちらもやるべきだし、日本語も同じくらい読むべき。
英語の本だけ読んでたら、思考が浅くなりました。
日本語がわたしたちの根っこです
言葉ってすごく大事で、自分の考え方や思考に直結してるんですよね。これは英語の勉強をすればするほど、実感しています。
いやなことがあったときは、英語を勉強する。
知らない言葉で文句は言えない。
こんなことを言ったりしますが、まさにその通りだなと。自分が体得して使える言葉の範囲が、自分の思考の範囲です。(意味がわかるだけではダメです、感覚として体得してるということです。)
"洋書多読"の意識が念頭にあると、「この単語わかんない。この文法知らないな...。」と、どうしても最初のフィルターが英語で、言葉を味わう作業は次点になってしまいますよね。
しかたがないことだけれども。本書に限らず、人生で読むべき本と言えるような本は、数ヶ月かけてでも何度も読み返したりして、邦書と併読するのがおすすめです。1年に1冊、多くて2冊でも十分なほどではないでしょうか。
わたしは文才あまりないなぁと思っているのに日本語読書時間まで削ったら、あっという間にスランプ到来。余計に文字が書けなくなりました。そんなときは日本語を読むようにしています。
速く読めることは別に正解ではない。
こう思える本は、自分史上最高の良書になりうります。ぜひ来年のテーマにしたい1冊をこれをきっかけに探してみてください。
- A Promised Land by Barack Obama
邦題「約束の地」
有色人種初のアメリカ大統領オバマさん。わたしたちが生きてる時代で間違いなくトップに入る歴史的事実。
アメリカンヒストリーを学ぶきっかけに。 - Sapiens: A Brief History of Humankind by Yuval Noah Harari
邦題「サピエンス全史」
日本でも大ベストセラーに。人類の歴史を知るならこの1冊
ヒトが進化できた理由は妄想力。いくらでも思想の横展開できます - 1984 by George Orwell
邦題「1984」
1949年に書かれた未来への警告。近代文学傑作品のひとつ。
明るい未来、恐怖の未来。今を生きる全人類考えるとこある。
日本語はわたしたちの根っこです。日本人だからこその素敵な英語表現ができる人間を目指していきたいものです。
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