語学×探検×青春!25以上もの言語を学んできた辺境ノンフィクション作家・高野秀行氏によるディープな体験記。アヘンケシ栽培を目指して麻薬王のアジトでビルマ語学習など、濃密ストーリー満載。英語・仏語・リンガラ語・中国語他、マイナー言語掲載多数
私が使える言語の中で、最も得意なのは(日本語を除くと)圧倒的に英語であり、その英語ですらネイティブの言うことはさっぱりわからず、自分で発する言葉もグズグズのブロークンである。
語学の天才まで一億光年
おお、なんと…!
タイトルの如く「語学の天才」である多言語を操る天才リングイストが書いたハウトゥチックな本かと思っていたのに、書き出し1秒でナナメ上。
数年英語を熱心に学んでいるにも関わらず、初心者に毛が生えた程度の会話力で”ヘタの横好き”を自認しているわたしは、むさぼるように読み始めました。
辺境ライターとして怪しげなエリアへばかり取材に出かける高野氏。その度に言語学習を重ねる中で「語学ビッグバン」なるものが起こったそうです。
一般的な学習環境からは得られない気づきがあちらこちらに散りばめられているのが、この本の良さ。
さらにいいのは、マイナー言語が主役なこと。アフリカはリンガラ語からはじまり、最終的には麻薬王アジト潜入を目指してアジア言語にたどり着く高野氏。
実は自分も英語学習を入り口にして、中華世界辺境の民の魅力に取り憑かれた末、中国語を学びはじめたところ。著者とは似ても似つかない地味な生活をしていますが、ひどく共感してしまいました。
※ちなみに、英語学習者が中国語に出会ったときの衝撃といったら…学ぶ前から漢字半分わかる
「言語はアイディンティティだ!」
そう言い切れる日本人は、この方をおいて他にいないんじゃないでしょうか。めちゃくちゃ濃密な語学体験記ですごくおもしろかったです。読んでよかった。
冒頭のように謙遜した一文からはじまりますが、まちがいなく“語学の天才”が書いた本です。語学を楽しんでいる人全員読むべしなおすすめの1冊です。